有島武郎の名言・格言【厳選20選】心に響く言葉と意味を解説

明治・大正時代に活躍した文豪、有島武郎。

彼の遺した数々の名言や格言の中から、特に心に響く言葉を厳選してご紹介します。

彼の思想や人生観に触れながら、一つひとつの言葉が持つ深い意味を分かりやすく解説していきます。

人生の岐路に立ったり、愛や人間関係について考えたりする時、有島武郎の言葉は、あなたの心に寄り添い、そっと背中を押してくれるかもしれません。

この記事を通じて、日々の悩みを乗り越える勇気や、新たな視点を与えてくれるような感動の言葉が見つかります。

有島武郎とは 思想と生涯が生んだ珠玉の言葉

明治から大正にかけて活躍した文豪、有島武郎（ありしまたけお）。

彼の遺した言葉は、100年以上の時を経てもなお、私たちの心を捉えて離しません。

それは、彼が自身の生涯を通じて深く見つめた思想や人間、社会への鋭い洞察に基づいているからでしょう。

ここでは、有島武郎という作家の人物像に迫り、なぜ彼の言葉が今もなお多くの人に感動を与え、心に響くのかを探ります。

白樺派の中心人物としての活躍

有島武郎は、明治末期から大正期にかけて、理想主義や人道主義を掲げた文学思潮「白樺派」の中心的な作家として活動しました。

1910年に創刊された同人誌『白樺』には、武者小路実篤や志賀直哉といった文豪たちと共に、小説や評論を発表しています。

彼の文学は、個人の内面や生き方を深く掘り下げる白樺派の特徴を持ちながらも、社会への強い関心を反映した独自の思想を示していました。

芸術を通して人間性の解放を目指した白樺派の中で、有島武郎は重要な役割を担ったのです。

裕福な生まれと社会へのまなざし

有島武郎は、1878年に旧薩摩藩士で大蔵省の高級官僚であった有島武の長男として東京で生まれました。

学習院で初等科から中等科まで学び、恵まれた環境で育ちます。

しかし、彼はその幸福な境遇に安住することなく、常に社会の矛盾や弱い立場にある人間たちへ深い同情のまなざしを向けていました。

この価値観が、後の思想形成や、自らの農場を解放するといった行動に繋がっていきます。

恵まれた出自と、社会への批判的な視点という二面性が、彼の文学に深みを与えています。

北海道 札幌との深い関わり

有島武郎の人生と文学を語る上で、北海道、特に札幌との関わりは欠かせません。

学習院を卒業後、彼は現在の北海道大学の前身である札幌農学校に進学し、キリスト教に触れるなど多感な時期を過ごしました。

卒業後、父から受け継いだ広大な有島農場が北海道の狩太村（現在のニセコ町）にありました。

彼は後に、この約450ヘクタールもの農場を小作人に無償で解放するという、当時としては画期的な決断を下します。

この北海道での経験や葛藤は、代表作の一つである『カインの末裔』などの作品にも色濃く反映されています。

苦悩の中から生まれた文学作品

有島武郎の作品は、彼自身の深い苦悩の中から紡ぎ出されたものが少なくありません。

恵まれた環境と社会への疑問、芸術への情熱と人生への懐疑、愛や信仰をめぐる葛藤など、彼は生涯を通じて様々な内面的な戦いを抱えていました。

評論『惜しみなく愛は奪う』に見られるような独自の人生観や、代表作『或る女』で描かれる女性の激しい生き様、『生まれ出づる悩み』で描かれる芸術家の苦悩など、彼の文学は人間存在の根源に迫るテーマを扱っています。

その苦悩こそが、読者の心をとらえる普遍的な力を持っているのです。

なぜ有島武郎の言葉は今も心に響くのですか

有島武郎の言葉が、一世紀以上も前のものにもかかわらず、現代に生きる私たちの心に響くのはなぜでしょうか。

それは、彼が問い続けたテーマが、人生、愛、幸福、苦悩、死といった、時代や場所を超えて誰もが向き合う普遍的なものだからです。

彼の言葉には、きれいごとだけではない、人間や社会の真実を見つめる厳しさがあります。

そして、その鋭い洞察の中に、生きる上でのヒントや勇気、深い感動を見出すことができるのです。

有島武郎の名言や格言は、私たちが自身の生き方や価値観を見つめ直すきっかけを与えてくれます。

【人生・生き方】壁にぶつかった時に読みたい有島武郎の名言・格言

人生には、誰しも壁にぶつかったり、どう進めば良いか分からなくなったりする時がありますね。

そんな時、明治・大正期を生きた文豪、有島武郎の言葉が、そっと背中を押してくれるかもしれません。

彼の言葉には、深い苦悩と探求から生まれた、生きる上でのヒントが詰まっています。

困難と向き合う勇気を与えてくれる言葉

誰だって、辛いことや見たくないものからは目を背けたいものです。

しかし、有島武郎は、困難や醜いものの中にも、目を向けるべき価値があると考えていました。

恐れることなく醜いものや邪なものにもぶつかってみよう。

その底に何があるか。

この有島武郎の言葉は、一見ネガティブに見えるものの中にこそ、本質や新たな発見がある可能性を示唆しています。

例えば、仕事での失敗や人間関係のトラブルといった困難も、逃げずにその原因や自分の気持ちと向き合うことで、成長の糧となることがあります。

この言葉は、厳しい状況から逃げ出したくなった時に、もう一度立ち向かう勇気を与えてくれるでしょう。

困難の先にあるものを見つめる大切さを、有島武郎は教えてくれます。

真実の厳しさを教えてくれる言葉

時には、優しい嘘よりも、ありのままの真実の方が深く心を抉ることがあります。

有島武郎は、その真実が持つ厳しさについても言及しています。

真実ほど人を傷つけるものはない。

これは、人間関係や社会の複雑な一面を鋭く突いた有島武郎の名言です。

心地よい言葉だけに囲まれていると、本質を見失ってしまうこともあります。

厳しい真実であっても、それを受け止め、理解しようと努めることが、人として成熟していくためには必要な過程であると言えるでしょう。

この言葉は、人生の甘くない側面も直視する強さを持つことの重要性を、私たちに問いかけます。

生まれ出づる悩みと探求に関する言葉

有島武郎の代表作の一つに『生まれ出づる悩み』があります。

このタイトルが示すように、彼は人生における苦悩や探求そのものに、深い意味を見出していました。

悩むことは、決して無駄な時間ではありません。

むしろ、現状に満足せず、より良い生き方を模索している証拠とも言えます。

有島武郎の思想に触れると、悩みの中からこそ新しい価値観や自分自身の本当の望みが生まれてくるのだと気づかされます。

彼自身の生涯も、裕福な環境にありながら常に社会や人間存在について悩み続けた、探求の連続でした。

悩みや疑問を持つことは、より深く自分や世界を理解するための大切なステップなのです。

決断を後押しする短い格言

長文だけでなく、有島武郎は短いながらも心に強く響く格言も残しています。

座右の銘として、日々の決断の支えになるような言葉もあります。

短い格言	意味・解説
決心は九分の成就。	決意を固めること自体が、目標達成の大部分を占める
自ら労して自ら食う可し。	他に頼らず、自分の力で生計を立てるべき

これらの短い言葉は、具体的な行動を起こす際の心理的なハードルを下げ、一歩踏み出す勇気を与えてくれます。

「決心は九分の成就」という格言は、何か新しいことを始める時や、難しい選択を迫られた時に、まず「やると決める」ことの重要性を示しています。

迷った時には、これらの有島武郎の言葉を思い出してみてください。

自分の足で立つことの大切さを説く言葉

他者との関わりの中で生きる私たちですが、最終的には自分自身の力で人生を歩んでいく必要があります。

有島武郎は、自立して生きることの重要性も説いています。

自ら労して自ら食う可し。

この言葉は、単に経済的な自立だけでなく、精神的な自立の大切さをも含んでいると考えられます。

誰かの意見に流されるのではなく、自分の頭で考え、自分の価値観に基づいて判断し、行動する。

そうした主体的な生き方が、充実した人生を送る上で欠かせません。

有島武郎の言葉は、周囲に頼るだけでなく、しっかりと自分の足で立ち、責任を持って生きていくことの尊さを教えてくれます。

【愛・人間関係】有島武郎が問う「愛」の本質と言葉の意味

有島武郎は、愛や人との関わりについて深く考え、多くの言葉を残しました。

その言葉は、時を経ても私たちの心に響き、愛とは何か、人間関係とは何かを問いかけます。

有名な「惜しみなく愛は奪う」の意味を解説します

「惜しみなく愛は奪う」という言葉は、有島武郎の最も有名なフレーズの一つです。

これは彼の評論『惜しみなく愛は奪う』で示された考え方で、「愛の表現は惜しみなく与えるだろう。

しかし、愛の本質は惜しみなく奪うものだ」と続きます。

一般的にイメージされる「与える愛」だけでなく、相手のすべてを求め、受け入れようとする激しさこそが愛なのだと、有島武郎は主張しました。

この言葉は、愛の持つ強烈な側面や、所有欲にも似た感情について深く考えさせられます。

愛と憎しみの関係についての鋭い洞察

愛と憎しみは正反対の感情だと思われがちですが、有島武郎は異なる見方を示します。

評論『惜しみなく愛は奪う』の中で、「愛と憎しみとは、相反する心の働きの両極を意味するものではない。

憎しみとは人間の愛が変化した一つの形式である」と述べました。

さらに、「愛の反対は憎しみではない。

愛の反対は愛しないことだ」と続けています。

つまり、愛の真逆にあるのは憎しみのような激しい感情ではなく、無関心であるという鋭い洞察です。

この言葉は、人間関係の複雑な感情のもつれを理解するヒントになります。

子供たちへの深い愛情『小さき者へ』からの言葉

有島武郎は、自身の3人の子供たちへ向けて『小さき者へ』という作品を書き残しました。

そこには、父親としての深い愛情が込められた言葉があります。

「お前たちをどんなに深く愛したものがこの世にいるか、或いはいたかという事実は、永久にお前たちに必要なものだと私は思うのだ」という一節は、親から注がれる無償の愛の記憶が、人が生きていく上でどれほど大きな支えとなるかを教えてくれます。

この言葉からは、子供たちの未来を思う有島武郎の温かいまなざしが伝わってきます。

人間関係の複雑さを示す言葉

有島武郎の作品や言葉には、人間関係のきれいごとだけではない、複雑な側面も描かれています。

例えば、人と人との間に生じる誤解、理解し合うことの難しさ、そして時には避けられない衝突などです。

彼の洞察は、私たちが日々経験する人との関わりにおける喜びや悩みと重なり、共感を呼びます。

有島武郎の言葉に触れることで、人間関係の深さや難しさについて、改めて考えるきっかけを得られます。

心に刻む 有島武郎の有名な言葉と作品に触れる

有島武郎の言葉は、彼の作品世界と深く結びついています。

代表的な小説や評論を読むことで、名言や格言が生まれた背景や、そこに込められた思想、人生観をより深く理解できるでしょう。

代表作『或る女』に見る女性と社会

『或る女』は、有島武郎の代表作の一つであり、当時の社会で自立を目指す女性の生き方と苦悩を描いた文学作品です。

主人公である早月葉子の強い自我と、因習的な社会との葛藤を通じて、有島武郎は人間の自由や幸福について問いかけました。

この物語は、100年以上前の作品でありながら、現代の私たちにも女性の自立や社会との関わり方について考えさせる力を持っています。

有島武郎が描いた葉子の姿は、価値観が多様化する現代において、自分らしい生き方を模索する多くの人々にとって、共感と感動を呼ぶかもしれません。

有島武郎の鋭い人間観察が光る一作です。

『カインの末裔』が描く人間の性（さが）

『カインの末裔』は、北海道の開拓地を舞台に、土地への執着や暴力的な衝動といった、人間が持つ根源的な性（さが）を描き出した作品です。

旧約聖書の「カインとアベル」の物語を下敷きに、主人公の仁右衛門が自然や社会、そして自分自身の内なる衝動と格闘する姿が描かれています。

有島武郎はこの小説を通して、理想だけでは語れない人間存在の暗部や、抗いがたい宿命のようなものを描き出そうとしました。

有島武郎の思想や人間観の深さを知る上で重要な作品であり、読後に人生や人間について深く考えさせられるでしょう。

短いけれど印象的な座右の銘にしたい言葉一覧

有島武郎は、短いながらも深く心に響く言葉を多く遺しています。

日々の生き方の指針となるような、座右の銘にしたい格言をいくつかご紹介します。

言葉	意味・背景
決心は九分の成就	固い決意を持つことが、目標達成の大部分を占めることの示唆
自ら労して自ら食う可し	自分の力で働き、生活の糧を得ることの重要性
人生は闘争だ、苦しい闘争だ	人生には困難や試練が伴うが、それに立ち向かうこと自体に意味があることの示唆
燃えよ、精神よ、最後の燭（しょく）までも	情熱や意志を持って、最後まで全力で生きることの奨励
過失に対して寛大であれ	他人の失敗や間違いを受け入れる心の広さを持つことの重要性（自己に対しても含む場合あり）

これらの短い名言は、迷った時や苦悩を感じた時に、私たちに勇気や行動する力を与えてくれるはずです。

もっと深く知りたい方へ 代表作品ガイド

有島武郎の思想や言葉の世界にさらに触れたい方のために、代表作とその特徴をまとめました。

どの作品から読めば良いか迷った際の参考にしてください。

作品名	ジャンル	主なテーマ・特徴	こんな方におすすめ
或る女	小説	自我に目覚めた女性の生き方、社会との葛藤、愛と自由	人間の心理や社会問題に関心がある方
カインの末裔	小説	人間の根源的な衝動、自然と人間、北海道開拓期の描写	文学を通して人間の本質を探求したい方
生まれ出づる悩み	小説	芸術への憧れと現実との葛藤、若者の苦悩と成長	夢や目標に向かって悩んでいる方
小さき者へ	評論・随筆	子供たちへの深い愛情、教育観、人生における愛の重要性	親子関係や教育に関心がある方
惜しみなく愛は奪う	評論	有島武郎独自の愛の哲学、与える愛と奪う愛、愛の本質についての考察	愛や人間関係について深く考えたい方

これらの作品は、それぞれ異なる角度から有島武郎の文学世界と人生観に触れることができます。

有島武郎の言葉を日々の糧にするために

有島武郎の言葉や作品に触れることは、日々の生活の中で忘れがちな大切なこと、例えば愛の本質や人生の意味、人間としてどう生きるべきかといった根源的な問いについて、改めて考えるきっかけを与えてくれます。

彼の名言や格言は、100年以上経った現代においても色褪せることなく、私たちの心に響く力を持っています。

それは、有島武郎自身が人生において深く苦悩し、人間や社会と真摯に向き合い続けたからでしょう。

彼の言葉を単なる教訓として受け取るだけでなく、その背景にある思想や生涯に思いを馳せることで、より深い感動や学びが得られるはずです。

ぜひ、有島武郎の言葉を時折思い出し、みなさんの人生を豊かにする糧としてください。

よくある質問（FAQ）

有島武郎の名言は、現代の私たちの悩みにどう役立ちますか？

有島武郎の言葉は、人生、愛、苦悩といったいつの時代も変わらないテーマを扱っています。

そのため、現代を生きる私たちが抱える悩みや迷いに対しても、多くのヒントを与えてくれるのです。

特に、困難に立ち向かう姿勢や、自分自身の生き方を探求することの大切さを説く言葉は、私たちに勇気や新しい視点をもたらしてくれるでしょう。

彼の人生観に触れることで、自分らしい生き方を見つけるきっかけが得られます。

有島武郎の「愛」についての考え方の特徴を教えてください。

有島武郎の考える愛は、「惜しみなく愛は奪う」という言葉に代表されるように、ただ優しく与えるだけでなく、相手の全てを求め、受け入れようとする情熱的な側面も持っています。

また、「愛の反対は憎しみではなく無関心（愛しないこと）」という鋭い洞察も示しました。

彼の愛に関する言葉は、人間関係の深層に迫るものであり、その本質について深く考えさせられます。

有島武郎は白樺派の作家ですが、他の白樺派作家（武者小路実篤や志賀直哉など）と考え方に違いはありますか？

有島武郎も武者小路実篤や志賀直哉と同じく、白樺派の中心メンバーとして理想主義や人道主義を大切にしました。

しかし、有島武郎は特に社会問題への意識が強く、裕福な生まれであることへの苦悩や、社会の矛盾に対する鋭い視点を作品に反映させた点が特徴的です。

個人の内面描写だけでなく、人間と社会との関わりを深く掘り下げたところに、彼の思想の独自性があります。

有島武郎の名言の中で、特に若い世代の心に響くものはありますか？

「決心は九分の成就」のように、行動を後押しする短い格言は、目標に向かって頑張る若者に勇気を与えるはずです。

また、『生まれ出づる悩み』で描かれた芸術や自己実現への葛藤は、夢を追う人の共感を呼びます。

『小さき者へ』に込められた子供への深い愛情の言葉も、教育や家族の大切さを教えてくれるでしょう。

彼の言葉は、人生の価値観を考える上で多くの感動と教訓を与えてくれます。

有島武郎の北海道での経験は、彼の思想や言葉にどう影響しましたか？

北海道の広大な自然や開拓期の厳しい現実は、有島武郎の思想に大きな影響を与えました。

現在の札幌にあった札幌農学校で学び、父から受け継いだ北海道の農場を小作人に無償で解放した経験（土地の無償譲渡）などを通して、社会の矛盾や人間のあり方について深く考えるようになります。

この経験は代表作『カインの末裔』などに色濃く反映されており、彼の言葉に深みと説得力をもたらしているのです。

有島武郎の名言を引用する場合、気をつけることはありますか？

有島武郎の名言を引用する際は、可能であれば出典元（どの作品の言葉かなど）を明記することが望ましいでしょう。

特にレポートや論文などで使用する場合は、正確な情報を示すことが大切です。

また、言葉の一部だけを切り取ると、本来の意味と違った印象を与えてしまう可能性もあります。

有島武郎の思想や文脈を理解した上で、敬意を持って引用することが重要です。

まとめ

この記事では、文豪・有島武郎が遺した心に響く名言や格言を厳選し、その生涯や思想、代表作とともに分かりやすく解説します。

彼の言葉は、人生や愛、人間関係における苦悩や喜びを深く捉えています。

現代を生きる私たちにも多くの感動や勇気、人生の教訓を与えてくれるものです。

有島武郎の言葉の中から、ご自身の座右の銘となるような一節を見つけてみませんか。

彼の名言や格言に込められた深い意味を知り、ぜひ日々の生き方の糧としてください。

彼の作品を引用する際の注意点も確認できます。